豊洲のボウリング場を探して三千里。消えた「DOボウル」の面影と、現代の迷えるボウラーたちへ

コラム
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「豊洲でボウリングをしよう」。 その一言が、これほどまでに甘美で、そして絶望的な響きを持つことを、あなたは知っているでしょうか。 キラキラとした高層マンションが建ち並び、推し活の聖地として、あるいは家族連れの憩いの場として完成されたこの街で、私たちは時として「重い球を投げて、白いピンをなぎ倒したい」という、原始的な破壊衝動に駆られることがあります。 しかし、スマホを片手に「豊洲 ボウリング」と検索した瞬間、私たちは残酷な真実と対峙することになるのです。

まずは、そんな豊洲の「ボウリング難民」となった私たちが、まず知るべき歴史のお話から始めましょう。

1. 伝説の「DOボウル」――かつて豊洲には、50レーンの楽園があった。

今の豊洲しか知らない世代にこの話をすると、「またおじいちゃんの昔話が始まったよ」という顔をされるのがオチなのですが、実はかつて、豊洲には伝説的なボウリング場が存在していました。その名も「DOボウル」。

2006年まで、今の豊洲5丁目付近、晴海通り沿いにあった「ドゥ・スポーツプラザ晴海」という巨大な総合スポーツ施設の中に、それは鎮座していたのです。 驚くなかれ、そのレーン数はなんと50。現代の感覚からすれば、もはやボウリング場というよりは「ピンの展示会」でも開けそうな広さです。しかも、メンテナンスの行き届いた美しいウッドレーンが自慢で、ボウリング教室やジュニアキャンペーンなども充実していたという、まさに地域密着型の聖地だったわけです。

1972年、まだ豊洲という地名が世間に浸透しておらず、知名度が低いからという理由で「晴海店」と名付けられていた時代から、この施設はこの街の健康と娯楽を支え続けてきました。ダイエットブームや時代の荒波に揉まれながらも、地元の人々に愛され、多くのストライクとガターを見守ってきたのです。

しかし、運命の日はやってきます。2006年9月29日。 都市再開発という、抗いようのない時代の巨大な波によって、DOボウルはその歴史に幕を閉じました。 造船所の跡地に「アーバンドック ららぽーと豊洲」が誕生するのと引き換えに、私たちは50のレーンと、指先に残るウッドレーンの感触を失ってしまったのです。 現在、その後継とも言える「ドゥ・スポーツプラザ豊洲」は、ららぽーと内で元気に営業を続けていますが、残念ながらそこにはボウリングのピンは一本も立っていません。

ドゥ・スポーツプラザ豊洲施設内のプール
参考:ドゥ・スポーツプラザ豊洲HP

かつて、この地で青春を投げ込んだ人々は、今でも晴海通りを歩くたびに、心の耳で「カーン!」というあの乾いた音を聞いているのかもしれません。

2. 現実を受け入れよう。現在、豊洲の中にボウリング場はない。

ボーリング場

さて、ノスタルジーに浸るのもほどほどに、現代に生きる私たちの問題に立ち返りましょう。 あなたが今、豊洲駅の改札を出て、アクスタを握りしめながら「よし、推しと一緒にボウリングだ!」と意気込んでいるのだとしたら、私は全力でその肩を叩き、静かに首を振らなければなりません。

結論から申し上げます。 現在、豊洲駅の周辺にボウリング場は存在しません。 これは、検索エンジンが導き出した冷徹なファクトであり、この街の「洗練」がもたらした一つの欠落でもあります。

今の豊洲にあるのは、お洒落なカフェ、最新の映画館、整然としたBBQスペース、そして水上バスで行く優雅な景色です。 ボウリングの重い球を持って歩くよりも、お洒落なトートバッグを肩にかけて歩く方が似合う街になってしまった。 「ボウリング場がない街なんて、クリープを入れないコーヒーのようなものだ(古い)」と嘆く方もいるでしょうが、それが再開発という名の進化の形だったのです。

では、私たちはどうすればいいのか。 豊洲での推し活を終え、アドレナリンが全開になったこの身体をどう鎮めればいいのか。 答えは簡単です。「豊洲の外」へ、一歩踏み出せばいいのです。

3. 豊洲の隣でストライク!周辺のボウリングスポットへの遠征計画

ボウリング場の地図

「豊洲にないなら、作ってしまえホトトギス」というわけにはいきません。 私たちは、現代の交通網を駆使して、ボウリングのピンが待つ隣町へと遠征する必要があります。 幸いなことに、豊洲は交通の便だけは驚くほど良いのです。

例えば、豊洲から少し足を伸ばせば、いくつかのボウリングスポットにアクセスすることが可能です。

まず候補に挙がるのは、①「ラウンドワンスタジアムダイバーシティ東京 プラザ店」。ここではボウリングだけでなく、アミューズメント全般をカバーできるため、一日中遊び倒したいというアクティブな方には最適でしょう。また豊洲からはゆりかもめ一本でアクセスできるため重宝しますね。

距離の近さでは劣りますが、②芝浦にある「東京ポートボウル」も選択肢に入れてもいいでしょう。港区の潮風を感じながら投げるボウリングは、また格別な趣があるはずです。

さらには、品川まで足を伸ばして③「品川プリンスホテルボウリングセンター」を目指すという、もはや「ボウリング観光」と呼ぶにふさわしい贅沢なルートも存在します。

さいごに

いかがでしたでしょうか。 豊洲からボウリング場が消えてしまった事実は、確かに少し寂しいかもしれません。 しかし、かつて「DOボウル」という輝かしい聖地があったという記憶を胸に、私たちは新しい街の形を楽しんでいくべきなのです。

もし、あなたが豊洲の街を歩いていて、ふと「あそこにボウリング場があったんだな」と思い出したら、それはあなたが豊洲という街の歴史の一部に触れた証拠でもあります。

さあ、今日はどのレーンに向けて、あなたの情熱を投げ込みますか? 豊洲での思い出作りは、まだ始まったばかりです。

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