初めて有明アリーナを訪れる方であれば、その堂々とした外観に思わず目を奪われてしまいますよね!
なかでもひときわ印象的なのが、大きく、なだらかに反り上がった曲線の屋根。まるで波のように美しく、湾岸エリアの風景とも見事に調和しています。
でも、この独特な屋根デザインには、ただの見た目の美しさ以上の“理由”があることをご存じでしょうか?
実は、有明アリーナの屋根には、建設当初から込められた様々なストーリーがあるのです。
今回は、そんな“ちょっと誰かに話したくなる”ような、有明アリーナの屋根に隠された魅力をたっぷりご紹介します!
イベント合間の暇つぶしなどに最適ですのでぜひ最後までお読みいただければと思います。
【驚きの理由①】屋根の曲線は周辺住民への配慮

有明アリーナの屋根が大きく反り返るような独特のフォルムをしている最大の理由は、周辺に暮らすタワーマンションの住民への配慮にあります。
一般的なドーム型の競技施設では、屋根に反射した太陽光が周囲の建物に直接差し込み、住民がまぶしさに悩まされるという問題が起こることがあります。
しかし、有明アリーナではこの点にしっかりと配慮されており、屋根のデザインを内側に反らせる形状にすることで、太陽光を会場内側に反射させる工夫が施されています。
その結果、眩しさや光害といった問題を軽減し、周辺住民の生活環境への影響を最小限に抑えることに成功しているのです。
さらに設計を手がけた久米設計の安東直・専務執行役員によると、
「住宅地や親水公園に接するため、周辺に与える圧迫感を減らす必要がある。垂直に切り立った外壁やドーム型の屋根とするよりも望ましい形だと考えた」
日経クロステック
と述べており、垂直な外壁や典型的なドーム型の屋根よりも、今のような反り上がる曲線デザインが最適だったと語られています。
このように、有明アリーナの屋根は“見た目のインパクト”だけでなく、地域に根ざしたやさしい設計思想の象徴でもあるのです。
【驚きの理由②】空調効率を向上させる機能美

有明アリーナの屋根は、単に美しい曲線美を追求しただけではありません。実はこの反り上がった形状が、施設内の空調効率を高める“機能美”としても大きな役割を果たしています。
屋根を内側に反らせることで、施設内部の体積を抑えることができるため、空調が効きやすくなります。これにより、1万5000人が収容可能な大空間でも、一定の快適な温度を保つことができるのです。見た目と機能性を両立させた、まさに一石二鳥の設計といえるでしょう。
【驚きの理由③】”日本独自のアリーナの形”への想い

「国際的な大会時には、建物が全世界に放映される可能性がある。一般的なドーム建築とは違う、日本独自のアリーナの形を示したかった」
日経クロステック
有明アリーナの基本設計を手がけた久米設計の安東直・専務執行役員は、設計に込めた想いをそう語っています。
2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技施設として作られた本施設。この言葉通り、有明アリーナは単なる競技施設にとどまらず、日本ならではの建築美と機能性をあわせ持った、世界に誇るアリーナとして誕生しました。外観から内装に至るまで、細部にわたって丁寧に設計されており、見る者に強い印象を残す唯一無二の存在です。
「日本のアリーナは、ここまでできる」──そんなメッセージを静かに、そして力強く世界に伝える建物。それが有明アリーナなのです。
おまけ豆知識|訪れた際はここにも注目!

有明アリーナを訪れた際は、次のポイントにもぜひ目を向けてみてください。
- 屋根の曲線美:正面だけでなく、横・斜めなど様々な角度からそのラインを観察してみてください。
- 国産木材の活用:館内の内装には、国産スギ材がふんだんに使われており、温もりを感じさせます。
- 周辺環境との調和:親水公園や住宅地との境界線には圧迫感を軽減する工夫がなされています。
- 構造の美しさ:内部から見上げる屋根の架構も非常に美しく、まるで芸術作品のようです。
次に有明アリーナを訪れるときは、ぜひこの屋根の注目ポイントを思い出してみてください。
イベントを楽しむだけでなく、建築そのものにも目を向けてみることで、体験がより深く、特別なものになるはずです。
まとめ:技術と配慮が生んだ建築の傑作
有明アリーナのなだらかに反り上がる屋根──それは単なるデザインの特徴ではありません。
周辺住民への光害・圧迫感への配慮、空調効率を考慮した機能美、限られた敷地での安全かつ迅速な施工を実現した建築技術、そして「日本らしさ」を世界に発信したいという設計者の想い。そのすべてが、あの屋根の曲線に込められているのです。
まさに、有明アリーナは“心遣いと技術”が融合した、現代建築の傑作と言えるでしょう。
- 施設情報
- Googleマップ
■ 施設名:有明アリーナ
■ 住所:東京都江東区有明1丁目11番1号
■ 公式サイト:有明アリーナ公式ホームページ
■収容人数:15,000人(仮設席含む)
■竣工:2019年12月9日
■設計:久米設計(基本設計)、竹中工務店(実施設計)
この記事は、有明アリーナの建築的魅力と技術的特徴について、初めて訪れる方にも分かりやすく解説することを目的として作成しています。
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