【現地レポ】閉館したお台場大江戸温泉物語の現在とこれから|今さら聞けない閉館理由も!

湾岸情報
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2003年のオープン以来、18年間にわたって多くの人から愛された「お台場大江戸温泉物語」。
2021年9月5日に閉館してから、気づけばもう4年以上が経ちました。
かつて賑わいを見せたあの場所は今どうなっているのか。そして、なぜ閉館しなければならなかったのか。

この記事では、跡地の“今”と閉館の真相、そしてこれからのお台場の展望について、わかりやすく解説します。

お台場大江戸温泉物語とは – 18年間愛され続けた温泉テーマパーク

お台場大江戸温泉物語の外観

お台場大江戸温泉物語は、2003年3月1日にオープンした都市型の温泉テーマパークです。
地下1,400メートルから汲み上げた天然温泉を使い、館内には江戸時代の街並みを再現。
浴衣を着て縁日を歩いたり、温泉に浸かったり、食事やマッサージを楽しんだりと、まるで“江戸の温泉街”にタイムスリップしたような体験ができました。

深夜営業も行われていたため、観光客だけでなく、仕事帰りの人や夜景を楽しむカップルにも人気。
年間でおよそ100万人が訪れるほど、お台場を代表する観光スポットとなっていました。

閉館理由は「契約満了」だった

経営不振では?と噂されたこともありますが、実は閉館の理由はとてもシンプル。
土地の契約が満了したため」です。

お台場大江戸温泉物語は、東京都が所有する土地を「事業用定期借地権」という形で借りて運営していました。
この契約は最長でも20年。延長や更新はできず、期間が終わると建物を解体して更地に戻さなければなりません。

つまり、どんなに人気があっても、契約満了を迎えれば“閉館せざるを得ない”仕組みだったのです。

法改正のタイミングが命運を分けた?

少しタイミングが違えば、閉館は避けられたかもしれません。
というのも、2008年の法改正でこの「事業用定期借地権」の最長期間が20年から50年に延長されたのです。
ただし、お台場大江戸温泉物語の契約は2003年。当時は旧法が適用されていたため、延長は認められませんでした。

2003年オープン当時の借地借家法
  • 事業用定期借地権の最長期間は20年
  • 延長は一切認められない制度設計
2008年の借地借家法改正後の借地借家法
  • 事業用定期借地権の上限が50年に延長
  • ただし、既存契約(2003年締結分)は旧法適用のまま

もしオープンがもう少し後だったら、契約期間を50年にできていたかもしれません…。

お台場大江戸温泉物語の現在の跡地は?

(※クリックで拡大可)

2025年7月に筆者が現地を訪れたところ、跡地は現在も更地のまま。
雑草が生い茂っている様子が見て取れます。


原状回復工事は2022年3月に終わっており、それ以降は特に動きが見られません。
2025年10月時点でも、具体的な再開発の計画は公表されていない状況です。

一方で、お台場エリア全体では再開発が進んでいます。
たとえば、ヴィーナスフォート跡地には2024年に「イマーシブ・フォート東京」がオープン。
2025年には「トヨタアリーナ東京」も開業。街は少しずつ新しい顔を見せ始めています。

ただ、温泉物語の跡地だけはまだ手付かずのまま。

なぜ跡地活用が進まないのか

お台場大江戸温泉物語の場所は、都の所有地であることや周辺開発との調整など、複雑な事情が影響しているようです。

考えられる理由
  • 土地の権利関係の複雑さ: 東京都所有地のため、活用方針の決定に時間
  • 周辺開発との調整: パレットタウン再開発との兼ね合い
  • 用途制限: 臨海副都心という立地特性による制約
  • 投資回収の課題: 短期契約では大規模投資が困難

今後の跡地活用は?― 再開発への期待

お台場海浜公園から望むレインボーブリッジ

東京都は臨海副都心エリアの活性化を進めており、
国際会議(MICE)やエンタメ施設、スポーツ施設の誘致を検討しています。

短期的にはベント会場や仮設施設、駐車場として活用される可能性もあるようです。
中長期的には、大型商業施設やホテル、エンタメ複合施設などが検討されるかもしれません。

一方で、土地は再び定期借地権で貸し出される見通し。
短期契約だと大規模投資が難しいという課題も残ります。

大江戸温泉物語グループの現在

お台場店の閉館を受けて、多くの方が心配したのが「他の大江戸温泉物語も同様の問題を抱えているのか」という点。ただ、その必要は無さそうです。

現在の大江戸温泉物語グループ
  • 多くの店舗は通常の賃貸借契約や所有地での営業
  • 定期借地権契約は限定的
  • 浦安万華郷は2024年6月に契約満了で閉館

お台場店が閉館しても、「大江戸温泉物語」ブランド自体は今も全国で展開を続けています。
2024年11月には「湯快リゾート」と統合し、全国で71施設を運営する国内最大級の温泉チェーンとなっています。(執筆時点)

上質なリゾート型の「TAOYA」ブランドや、「Premium」シリーズなど、新たな路線も登場。
お台場店の経験を生かし、より安定した土地契約のもとで運営する方針にシフトしています。

まとめ|閉館したお台場大江戸温泉物語の現在とこれから

お台場大江戸温泉物語は、
「都市で本格的な温泉体験を楽しめる施設」という新しいスタイルを作り上げました。
江戸の街並みを再現した独特の雰囲気は、多くの人の記憶に残っています。

いまは更地となった跡地ですが、お台場の新たな魅力創出の一翼を担う日が来ることを期待し、今後の動向を見守っていきたいと思います。
お台場を訪れる際は、変わりゆく街の表情を楽しみながら、かつて多くの人に愛された大江戸温泉物語の記憶も大切にしていただければと思います。

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