本日は最近街でよく見かける電動キックボード「LUUP」についてサクッと解説していきます!
スイスイと進む近未来的な車両は良くも悪くもたちまち話題になりますね。特に電動キックボードでの事故のニュースなどは目にされた方も多いのではないでしょうか?
では一体どこが問題で、何を改善すれば私たちにとって利用しやすいものになるのでしょうか?本記事はLUUPを知らない方でも分かるようまとめましたので、是非最後までお付き合いくださいませ。
※本記事は2024年09月時点での情報です
電動キックボード「LUUP」とは
薄緑がメインカラーの乗り物「LUUP」。
シェアサービスなのは知ってるけど、一体何なの?
LUUPは、街じゅうのどこにいてもスマホ一つで好きな場所へ簡単に行くことができる、新しい移動の選択肢です。街には「ポート」という移動のハブがあり、いつでもポートからポートへ電動マイクロモビリティに乗って移動することができます。
LUUP(ループ) | 電動キックボードシェア/シェアサイクル
つまり新しい交通手段を目指す乗り物と捉えられそうですね。
若い人が乗っているイメージだけど、乗るにはどうしたらいいの?
調べてみたところ、利用方法は至って簡単でした!
スマホのアプリから利用登録&Web交通ルールテスト(11問)に合格するだけで乗車の準備が完了。あとは利用先のポートへ行き、乗りたい車両を決めて乗車という流れのようです。
2023年7月1日に電動キックボードに関する法改正が行われ、これまで必要だった運転免許証がなくでも乗車できるようになり益々便利になったようです。
料金は地域によって異なりますが東京都の場合だと、 10分間利用すると200円です。(税込・2024/09時点での情報)
その手軽さと安さから支持されているんですね!
現在ではサブスクプランもあり、日常的に使いたい方などはご検討されてみてもいいかもしれません。
「バスvsLUUP」普及率を比較
では実際どれ程まで普及しているのでしょうか?都内に設置してある貸出スポットを調査したところ、その規模の大きさにビックリです。↓↓
ひょっとしてバス停の数より多い?
と思った筆者は、早速都営バスの停留所の数と都内に設置しているLUUPのポート数を勝手ながら比較してみました。
都営バス停留所 | LUUPポート数 |
---|---|
1,552か所 | 2,250カ所以上 |
引用: 東京都交通局 (データは2023年4月時点)|LUUP(データは2023年7月時点)
これまで都市の動脈としてインフラ業界をけん引してきた都営バスを優に超えていました。まだ利用者自体はバスほどではないものの、LUUPも交通手段の一つとしての役割を果たしているといえそうです。
何が問題なの?危険事例を調査
LUUPの普及は今後も増加していくと思われますが、一方で電動キックボードにまつわる交通違反も多く発生しているようです。例えば、以下のような動画が参考になるかと思います。
動画内では、人混みのある歩道でもお構いなしに走る様子や交通ルールを熟知しない利用者がいる現状を特集しています。電動キックボードの手軽さ故なのでしょうか。
もちろん、LUUPを利用する全ての利用者がこうした危険行為をしているわけではありません。一部の利用者によるマナー違反が注目され、LUUP自体を疑問視する声が上がっているのです。
では誰もが安心して移動できるようにするには、具体的にどのような行為を改善すればいいのでしょうか。以下ではLUUPにまつわる実際の危険行為を筆者が調査し、その問題を考察しました。問題点を明らかにすることで、誰もが安心できる街にも繋がると信じております。
以下では、「LUUPを利用したことのない方」や「これから利用を検討している方」にも分かりやすく解説しています。
1.通行禁止エリアが周知されていない
自転車通行禁止の国立科学博物館脇・首都高2号線下のトンネルを走るLUUP。
— moge (@moge_crmar) August 20, 2024
ヘッドフォンもしてるね。
危ないよ。#LUUP pic.twitter.com/5xalKze8T9
上記投稿はあくまで一例ですが、通行禁止エリアを走行していると思われるLUUP利用者が映し出されています。
- LUUPで走ってはいけない場所ってある??
- 歩道もOK??
そんな疑問を持たれる方も多いかもしれません。実際、電動キックボードを使い始めると、どこを走っていいのか迷うことってありますよね。もちろんLUUPにも、走行可能場所がしっかりと決められています。
警視庁の指導によると、次のようなルールがあります。
車道と歩道又は路側帯の区別があるところでは、車道を通行しなければなりません(自転車道も通行することができます)。
道路では、原則として、左側端に寄って通行しなければならず、右側を通行してはいけません。
特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について|警視庁
これだけ読むと、原付バイクと同じでは?と思われた方もいるでしょう。
実は大幅な改正法を施行した2023年7月1日の改正道路交通法では、原付バイクとの扱いを明確に分けています。この改正道路交通法が適用されたことで、LUUPは「特定小型原付」という新しい区分に分類されました。
特定小型原付?新しい概念が出てきて難しいなぁ。。
簡単に言うと、この区分によりこれまで走行可能場所が車道のみだったのに対し、改正後は車道・路側帯・歩道・自転車レーンと大幅に増えることとなりました。
↑ここだけ聞くと縦横無尽が可能なモビリティな気がしますね、、、
電動キックボードはどこなら走ってよいか、その線引きを熟知している方は多くないのではないでしょうか。LUUPでは以下のように指導がされています。
原則として、歩道ではなく車道の左側を通行してください。ただし、以下の二つの条件を満たす場合には、例外的に歩道を通行することができます。
①最高速度6km/hでの通行が可能な道を表す標識・表示があること。
②「6km/hモード」を搭載している特例特定原付に位置付けされる電動キックボードであること。
【LUUPの電動キックボードのルールQ&A】|LUUP 2024/09現在
ただし路側帯・歩道に関しては、走行可能な標識がある場合に限りかつ最高速度6km/hの時のみ走行が可能とのことです。LUUPでは最高速度のモード切り替えが可能なため、6km/hのモードの状態であれば走行が可能な場所が存在します。ただし上記は限られた場所のみですので、基本は車道であることに変わりありません。
また、標識による通行禁止場所も定められています。以下ではLUUPを含む「特定小型原付」が該当する通行禁止を示す標識です。利用される方はかならず覚えていきましょう。
2.気を付けるべき制限速度
電動キックボードって何キロまで出していいの?
車道を走行する場合の法定速度は20km/hです。(2024/09時点の情報)
また歩道の場合は、6km/hとなっています。ただ先程もお伝えした通り、歩道の走行が許されるのは一部の標識のある区間に限るため、基本は車道であることに変わりはありません。
警視庁の2023年7月時点での電動キックボード摘発件数によると、最も摘発の多かったのが「スピード違反」というデータもあるため速度には十分気を付けて走行しましょう!
3.飲酒運転の急増
飲酒運転に関しても摘発件数が急増しています。日本経済新聞では以下のように報じられています。
電動キックボードが絡む事故が2024年1〜6月に全国で134件発生し、うち23件(17%)が飲酒運転だったことが19日、警察庁のまとめで分かった。飲酒運転は未明の時間帯が目立ち、割合は自転車や原動機付き自転車と比べ高い。
2024年9月19日|日本経済新聞
特にLUUPの電動キックボードを利用した飲酒運転が増えているのは、他の乗り物と比べて手軽に使えるためかもしれません。LUUPは24時間かつアプリ一つで手軽に借りられるため、飲酒後でも気軽に利用されやすいという背景があります。ましてや、終電などを逃した時にはLUUPで帰宅しようと考える人もいるかもしれません。
しかし、電動キックボードも道路交通法の対象であり、飲酒運転は厳しく取り締まられます。バランスを崩しやすい乗り物だからこそ、酔っている状態では制御が困難になり、重大な事故を引き起こすリスクが非常に高まります。特に、歩道や車道で他の歩行者や車両との接触事故を引き起こせば、自分だけでなく周りにも大きな被害を与えてしまいます。
飲酒運転は絶対にやめましょう。
4.軽視されがちな逆走運転
大通りを逆走している危ないLUUPがいるなあと見てたら信号無視したり自由過ぎて草。
— ODEN (@ODENDESUGA) June 22, 2024
こんなLUUPを運転してる人を自動車で轢いてしまったら自動車側が悪くなるんでしょう?馬鹿馬鹿しいわ。#luup #危険運転 #逆走 pic.twitter.com/JeiZORUhYw
歩道歩いてたらいきなり後ろからLUUPに抜かれて、さすがにあれなので、「おいおい、危ないだろ。歩道走るな」と声に出して注意してしまった。
— Junya ISHINO/石野純也 (@june_ya) June 8, 2024
ところまではいいんだけど、一応無反応でも注意だけは聞いてたのか、車道に出た。けど、それ、逆走なんだなぁ……。
あんな車多い国道でよくやるわ……。
「そんなことあるわけないでしょ」と思う方もいるかもしれませんが、筆者が調査を進めていくと逆走を見かけたという方も少なからずいることがわかりました。
逆走が多い理由としては、まず電動キックボードの操作は軽快で取り回しやすいため、つい交通ルールを軽視してしまうことが挙げられるでしょう。逆走は非常に危険で、正しい方向から来る車や自転車との衝突事故を引き起こすリスクが高まります。特に車道での逆走は、ドライバーの反応が遅れることも多く、重大な事故につながりかねません。
以下の動画では、ドライバー目線で見た逆走する電動キックボードを捉えた様子です。
急に正面からの逆走車両に思わずゾッとしますね
車道を走る際は、車と同じ方向に進むべきという基本的な交通ルールを知らない人が多いのかもしれません。電動キックボード利用者は、交通ルールを守り、安全に走行することが求められます。
5.二人乗り運転
規制強化すべきだよ!
— 雫 (@fNRmQgZcaoyPS0M) August 27, 2024
危ない!!#LUUP#電動キックボード#原付#逆走#歩道走行#2人乗り pic.twitter.com/L6rEw8jw3A
「二人乗り」行為は、LUUPに限らず全ての電動キックボードで禁止されています。バランスを崩しやすくなるだけでなく、周囲の歩行者や車両を巻き込んだ重大な事故を引き起こす危険性も高まります。特に、電動キックボードは軽量でスピードが出やすいため、安定性が求められる乗り物です。二人乗りをすると、重心が不安定になり、少しの段差やカーブでも簡単に転倒するリスクが増します。
二人乗りしててもかなりのスピードが出るようですね
もちろん、「並走運転」も禁止されているため、友達と一緒に走る際にもお互いに十分な距離を保ちながら、安全運転を心がけましょう。
LUUPは即刻廃止すべき。
— W211 (@takaHi25841231) September 21, 2024
普通に危ない。 pic.twitter.com/YxyJ8P5oNN
6.右折方法
西天満の交差点直右折しようとしてるLUUP怖すぎでしょ😨😨 pic.twitter.com/36jpnO94za
— おまる@20代準富裕層 (@rymanOmaru) September 17, 2024
大阪の投稿者の方の動画。
— のぶゆき (@noguchinobuyuki) September 22, 2024
都内のマナーも悪いけど、大阪のLUUPは更に酷かった。
左の3車線はイエローラインで右折禁止。
ここを一番左から赤信号を右折、
こんな信号無視が横行してしまう
これぞ、交通違反の無限LUUP。#LUUPのない安心・安全な社会を#秋の交通安全週間 pic.twitter.com/FfIYqHEjyC
警視庁の指導では、LUUPが該当する特定小型原付に次のように規定しています。
信号機等により交通整理の行われている交差点では、青信号で交差点の向こう側まで直進し、その地点で止まって右に向きを変え、前方の信号が青になってから進む、いわゆる「二段階右折」をしなければなりません。
特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について|警視庁
上記の通り、LUUPで右折する場合は「二段階右折」が必須となります。これはもちろん、車線の数にかかわらず、車道の一番左側に沿いながら右に曲がるということになります。
電動キックボードは自動車や自転車よりも軽量でありながら、ある程度のスピードが出るため、交差点での操作ミスが事故に直結しやすいのが特徴です。
またLUUPは小型でドライバーから見えにくいことも多いため、存在をしっかりアピールすることも重要です。ヘルメットを着用し、十分な安全対策を心がけたいですね。
筆者が危ない場面に遭遇した話
実は筆者も2023年8月、電動キックボードに乗車された方で危ない瞬間を目撃したことがあります。
それは、電動キックボードの足を乗せるボード部分に荷物を置いて走行している利用者が、交差点に差し掛かったところで荷物を落下させてしまった場面でした。落下と同時に少しバランスを崩したため走行を止めて、歩いて落下物を拾われていました。信号のタイミングや落下した場所が悪ければ、周りを巻き込んだ事故に繋がっていたかもしれません。
荷物運搬に関しての規制について調べてみたところ、現在(2024/09時点)のところ明確なルールは無く、走行の妨げになるような運転への注意喚起を各社が行なっているのみでした。
電動キックボードは移動に小回りが利く反面、荷物を効率良く運ぶ点には向いていないと言えます。もし多くの荷物を一緒に運びたいのであれば、リュックサックでの乗車やカゴ付の電動キックボードに乗るなど利用者側が工夫をする必要があるかと思います。
利用者側と提供者側の課題
電動キックボードは便利な反面、まだ議論の余地がありそうですね。
特に筆者が挙げた、電動キックボード利用時の荷物の置き場をどうするかという問題について、もっと議論が必要ではないかと考えています。また、新しい乗り物ゆえに法改正によりルールが変わるため事業者側は利用者への周知、利用者は新ルールに適用できなければ安全は確保できません。もちろん電動キックボードによる交通事故を増やさないためにも法改正は必要ですが、これまで以上に規制強化や利用者の安全に対する意識を向上させる必要があると筆者は考えます。
本記事でまとめた危険事例のほとんどは、利用者側の交通ルールが徹底されていないことで起こっているようにも思えます。これらを基に電動キックボードを提供する側も利用する側も考えてもらうきっかけとなれば幸いです。
本日は以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!
コメント